あなたに捧げる不機嫌な口付け

「…………」


呼んでいた彼女には、帰ってもらったらしい。


随分後腐れなくあっさり帰るんだね、彼女さん。


まあ私も帰ってって言われたらあっさり帰る自信があるから、そういう後腐れのない人を選んでいるんだろう。


諏訪さん、見極めは上手い人だから。


私の前ではいつも電源を切っていたし、例え誰かから連絡が来ても私優先だったから、間接的にしか知らなかった他の「彼女さん」の存在を目の当たりにしてしまった。


なんでか私を優先するんだよなー、諏訪さん。


高校生だとあんまり遅くまでいられないからかな。


私が面倒臭がりであまり行かないからかもしれない。


まあそんなことは置いておいて。


帰ってもらったのは別に構わないけど、「じゃあそういうことで」とか言ってここで私から切り上げたら、拗ねているように見えないか。


見えるんじゃないかな。多分見えるよね。


……うん、困った。