あなたに捧げる不機嫌な口付け

「何言ってんの、本当何なの、突然自己犠牲の精神に目覚めたの? ほんとに祐里恵どうしたよ」


全ては茶番だ。誤魔化しだ。嘘だ。契約違反にならないための。


そうあれかしと、諏訪さんが望むから。


だから今なら、本当のことを言っても茶化しにしかならない。嘘にしか聞こえない。


ちょうどいい建前に、こっそり本当のことを混ぜた。


「だから本心だって言ってるでしょ。諏訪さんが好きだから、諏訪さんがいいなって思っただけ」

「嘘つけ、そこでほんとにしたら嫌いになるくせに!」


へん、とへそを曲げたのがおかしくて笑ってしまう。


「さあどうかな。やってみれば?」

「嫌われたら嫌だからやらない」


絶対絶対襲わない、と力強く宣言されて、何だかおかしい。


「私のこと理解してくれてて嬉しいよ」


——ねえ、違うよ。違うんだよ。嘘。


「ほらみろやっぱりそうじゃんか、煽るだけ煽るの本当やめてくれる!? 鬼畜なの何なの!?」

「……いやー、期待が外れたね」


薄く笑う。


あなたがそう望むなら、私は合わせて茶化すけど。


やっぱり悔しいから、ちょっとだけ仕返しを。