あなたに捧げる不機嫌な口付け

「……この、やろ」


目つきを変えた諏訪さんが性急に引き寄せる。


こつんと額がぶつかった。髪が混ざる。


目を細めて見遣ると、諏訪さんも目をすがめて、首をほんの少し傾けた。


「何、それって口説いてんの、祐里恵」

「口説いてない」

「ふうん」


いつものようにへらりと笑みを浮かべた諏訪さんが、私の唇の上で囁く。


「あんまり可愛いこと、言わないで」

「…………」


いや、可愛くはないでしょ。


どこがだ、と内心首を傾げていると。


「普段があっさりしてるからほんとびっくりする」


そんなひどいことを真面目にのたまいやがったものだから、目くじらを立てる。


「失礼な。本心なんだけど」

「あーもー!」


途端、くわっと目を見開いた諏訪さんが、文句を言いながらジト目を寄越した。


「だからっ、本心とか言うの禁止!」

「は? なんで」

「俺はむしろ、なんで分からないのか疑問なんだけど」


がしがし、髪を乱して。


「俺のこと好きじゃないくせに可愛いことばっか言ってると、襲うよ?」