あなたに捧げる不機嫌な口付け

あ、と思った。


こんなのでいいんだ。

こんなので喰らってくれるんだ。


演技か本心かなんて分からないけど、いまだに赤いその耳が、答えのような気がした。


……諏訪さんはいい人だなあ。


ちょっと心が浮いて。


「ねえ諏訪さん、私本当に、諏訪さんがいいの」


思わずこんな馬鹿なことを告げたのは、嬉しかったから。


子どもの私を、

大人の諏訪さんが、


大人みたいに扱ってくれて、嬉しかったから。


「私ね」

「ん?」


笑いかける。


「いつか諏訪さんじゃない誰かとするくらいなら、今諏訪さんとがいい」


馬鹿なことを言っていると思う。

夢を見すぎだと思う。


でも、それでも、諏訪さんは私を笑わないから。

子ども扱いしないから。


「諏訪さんが、いいの」


甘えちゃ、駄目かな。