あなたに捧げる不機嫌な口付け

諏訪さんが瞠目して、嬉しそうに、朗らかに笑う。


「分かった、聞くから答えて。ねえ祐里恵、キスしてもいい?」

「ん、いいよ」


笑って、たった今気づいたばかりの思いを口にする。


「私、諏訪さんならいいよ」

「へ?」

「諏訪さんになら、何されてもいいかなって」

「……は!?」


間抜けな顔をさらす諏訪さんがあまりにおかしくて、声を上げて笑ってしまった。


「熱でも出た? 具合悪い? 祐里恵大丈夫? 帰る?」


矢継ぎ早の質問にむくれる。


帰す気はねえよとか言っていた人とは思えない。

なんて失礼な。本当に帰るよ、全くもう。


「こんなことくらい言われ慣れてるでしょ、何を固まってるの」

「びっくりしたんだよ!」


……ああ、否定しないってことは本当に言われ慣れてるんだな。

すごい彼女さんたちだなあ。


もごもご口ごもる諏訪さんの耳が一刷け赤い。


先ほど指定されたところに座らなかったら、そのまま無理矢理抱き寄せられたせいでものすごく前傾姿勢になって辛かったので、今度はもう少し距離を詰める。


詰めて、再び諏訪さんの見開いた目と視線が絡んで、困った。


じっと探られても、距離を詰めようとしただけなんだけど。


……ええと、どうしよう。


とりあえず、無難にたどたどしく見上げたら、流し目っぽい何かにはなったらしい。


諏訪さんが喉を詰まらせて俯いた。