『大丈夫ですって!
ひとみちゃん…今度会う時は歩けるようになって、おしゃべりもするようになっているだろうね。

あなたのお父様とお母様はとても素晴らしい人ですよ。あなたも優しくて思いやりのある女の子になってね。』

ひとみはひとみちゃんに優しく語りかけた。

向井先生と奥さんは顔を見合せ、微笑んだ。

『浅倉、いつ出発なんだ?』

向井先生に聞かれ、ひとみは、

『3月下旬には…』

その表情は穏やかで、ふたりの愛が過去のものであることを物語っていた。

ひとみはひとみちゃんを奥さんに返すと、

『お元気で、そしてお幸せに…』

そう言うと、向井夫妻に一礼した。

『さっ、慎吾、行くわよ!』

俺の腕に自分の腕を絡ませ、駐車場へと向かった。