泣きたい夜には…

クリスマスが終わって、新しい年を迎えたある日、


休日だった俺は、当直明けのひとみを迎えに行くと、

『成瀬さん!』

呼び止められ、振り返ると、

向井先生が赤ちゃんを抱いた奥さんを伴って、病院から出てきたところだった。

「退院ですか?おめでとうございます。赤ちゃん、大きくなりましたね。」


向井先生は笑って、

『ようやく体重が、2500超えてね…体力もついてきたし、浅倉からようやくOKが出たよ。』


先生の顔はすっかり父親の顔になっていた。

「お名前…何て言うんですか?」

俺が聞くと先生は恥ずかしそうに

『名前はひらがなで「ひとみ」…』