泣きたい夜には…

部屋に戻ると、ベッドに寝かされた。

ひとみは俺の額に触れ、

『慎吾、頑張ったからね。』

そう言うと、優しい笑顔を見せた。

「お前はすごいな…毎日、人の生死と向き合っているんだからな…俺には到底、真似できないよ。」

ひとみは首を振ると、

『だって私の場合、医師になることが自由を勝ち取るための手段だったから…』

その表情は何とも寂しげで俺の心を締め付けた。

ひとみの笑顔の裏に悲しい過去が隠されている…そう直感した。

俺はベッドから起き上がり、ひとみを見つめると、

「理由…聞かせてくれないか?無理にとは言わない。途中で辛くなったら止めてもいいから。」

ひとみはベッドに仰向けになると、しばらく天井を見つめていたが、やがて起き上がると、

『わかった…いいよ…』

ひとみは重い口を開いた。

『私の家は病院を経営しているの。大学病院に比べたらちっぽけなものだけど…

父が院長で、私はそこの一人娘、言ってしまえばお嬢様という立場で、何不自由なく育ったの。』

そういえば、以前、高山さんが言っていた。

ひとみが病院を継ぐようなことを…