泣きたい夜には…

外はいつの間にか春の雨が静かに降り始めていた。

「中に入らないと…濡れると風邪ひくぞ!」

ひとみは首を振ると、

『頭冷やしたいから、いい…』

そう言い、手すりを掴んで空を見上げていた。

その表情は何とも言えない寂しさのようなものを感じた。

でも…

「ダメだ!もっと自分を大事にしろ!」

そう言うと、ひとみを抱き上げ、部屋の中に戻った。

『いやぁ、離してぇ!!!』

暴れるひとみをベッドに投げ下ろすと、

『いったぁーい!!!もっと優しく下ろしてよ!!』

そう言うと、俺をキッと睨みつけた。

毎度ながらややこしい奴…

近くにあったタオルを渡すと、

「お前が風邪ひいて、NICUにいる赤ちゃんに感染したらまずいんじゃないの?

感情に流されてばかりいないで、少しはそういうことも考えろっての!」