「-っと、ここでいったん休憩な、俺もう腕パンパン」
5曲ぶっ通しで流し切って、2回目のMCに入るとアオイは赤と黒のギターを置いてまたステージ脇にはけていった。
のんきに手を振って、黄色い歓声をもらってはにやにや笑って。
かわいい声ばっかもらって、うかれてんなよ、
なんて自分の中の真っ黒な部分が出てきて首を横に振った。
「またアオイなんか食いに行ったべ、俺らも食いてーよ焼肉弁当、、」
アオイがはけたつなぎのようにバンドメンバーが水分補給しながらまた緩い会話を繰り広げていく。
「全国ツアーをやらしてもらってて、もう終盤なんだけど、今回は特別セトリが違うんだよな」
「こんなこというとあれだけど、いつもは東京でビデオ撮りしたのが映像化するじゃん?けど今回はこの今日のライブと、2日分丸々映像にして世に送り出すつもりだから」
歓声のあいだ、楽しそうに会話を繰り広げる。
今日は特別な日だから、
剛くんがこちらを見た気がして、でもそれは気のせいだなと思う。
「なんつーか、もう、こっからは、まあ今日はって感じだけどアオイが主役だと思って聴いてほしいわ」
MCの終わりかけ、剛くんが話を切り出すとメンバーもうなずいた。
「アオイっつーか、なんつーか、だよな」
そんな意味深な会話にファンの間でどよめきが広がる。



