ブラック・ストロベリー





「まもなく入場の時間になりますので皆様チケットをお手元に準備し、ゆっくり前に進んでください――繰り返します」


係員の言葉に、周りの浮き立つ言葉が聞こえる。



「やっと会えるね!!」

「楽しみすぎる!!」



制服を着ている子もいた、下がスーツの人だっていた。

学生から、大人まで、広い世代で親しまれてるのが、見て分かった。



「ねーちゃん、」

流れる列のまま進んでいく、陸が口を開いた。



「住む世界が違うとか、一般人だからって、そうやって自分と比べてたけどさ、」



バカなんだもんな、そう言って私を一蹴するからむっとして言い返そうとした。




「そんなかで、たった一人選ばれたねーちゃんはやっぱ、すげえよ」




会場-上にかかったロゴと、その奥。

まっすぐな言葉は、わたしのことを見ずに、けれどしっかり私の心の奥に届いた。