「おはよー‥‥って、琴!?ど、どーしたの?」

反応に無理もない。私が、男装をやめたから。

「ううん。なんにもないよ。ちょっと飽きちゃっただけ。」

こんなのもっぱらの嘘。苗ちゃんには嘘はつきたくなかったけれど、本当のことを言ってしまえば苗ちゃんは怒ってくれる。

昨日

「じゃ、まず男装。やめよっか。」

契約の主従関係が始まって、初めて言われた言葉。私は契約のとおり逆らうことはできない。

こんなことを苗ちゃんに言ったら、怒ってくれる。バカバカしいとも思うだろう。でも、苗ちゃんに頼ってばかりじゃ自分が弱くなる‥‥

「あっ、そーいや三上の弱み!握れた?」

「ううん。ダメだった‥‥。むしろストーカーしてるのばれちゃった(苦笑)」

「そっか‥‥。さすが三上って感じだね。」

「次頑張ればいいじゃん?元気だしなよ!」そう言う苗ちゃんはほんとに優しい。

「おはよう、琴ちゃん。」

「あ、み、三上くん。おはよう」

後ろから声をかけたのは三上くん。驚くのは苗ちゃん。いや、イライラしてる‥‥?なぜか苗ちゃんは震えていた。



「あんた、何を琴にしたの?」