でも、後ろにはさっきの人の姿はなかった。

「何だったんだ!?」

俺は少しだけ怖くなった。

そして、手に持っていた小説を鞄の中にしまい、走って家まで帰った。

「ただいま!」

普段言うことなんてないけど、俺は何も考えずそう言っていた。

「おかえりなさい。」

家の中から家族の声が聞こえた。

俺はいつものように、階段を上がり、自分の部屋に戻って行った。

部屋に入り、扉を閉めた時、さっきの人のことを思い出した。