太陽の日は沈みかけ、町は赤く染まる。

その赤はどんな赤よりも、落ち着きがあり、きれいだった。

そして何より、さびしげの含んだ赤だった。

でも、夕日の赤を見て、さびしいと思う人はほとんどいないだろう。

俺も今まで生きてきた中で、一度もそんな風に思ったことはない。

俺が、そんな風にたそがれて夕陽を悲しく思うのは、もう少し先の話。

今の俺には、夕日を見て悲しいとはとても思えなかった。

周りには親友たちがいるし、それなりに楽しい学校生活を送っている。

俺は今、電車に揺られて家に向かっている。

学校が終わり友達と電車で帰っている途中だった。