「いつも目が覚めれば勝手に起きて来るんやからほっといて平気やって。」


「ねえねえ優さん?」


「なあに愛理ちゃん?」


「起こしに行くの嫌なんでしょ?ちょっと素直に言ってごらんよ。どうなんだい?ん?」


「お口チャック」


「あ、逃げやがった」



ジー、自分の口元にチャックを閉める動作をした優は言葉の通りもう何も言わなくなる。ただ残っていた卵焼きはぱくんぱくん、頬張るようにして食べているけど。



でもご飯を食べるならやっぱり大勢で食べた方がおいしいと思うんだよなあ。隼人くんだけ一人、時間をズラして食べるのは可哀想だ。よしここはあたしにドンと任せておけ。清々しい声で起こして来てやろうじゃないか。



「あたしやっぱり起こしてくるよ!」



椅子から勢いよく立ち上がったあたしを見て、3人が仲良くパチンパチン大袈裟なくらい大きく大きく瞬きを繰り返した。




「お前勇気あんねえ」




空が両手を合わせて「短い付き合いだった」縁起でも無い事を言ってくる。これから戦場に行くわけでも無いのに、何なんだそれは。




「お前いつもの隼人を想像して起こしに行くと痛い目みるぞ」


「寝起きが悪いんでしょ?分かったってば!任せておいてくれ!皆、寝起きが悪いくらいで大げさだよ」



きっとあれでしょ、布団からなかなか出て来ないとかそんな感じでしょ?そんなの全然大丈夫。何度も声をかけてればそのうち目を覚ますんだからさ。



けれどあたしの言葉に3人は大きく大きく首をぶんぶんと横にふっている。



「粘りが足りないんだ君たちは」


「いや、そういう事じゃねえから」


「俺、愛理ちゃんだけやと心配やから一緒に行くわ」


「優さん大袈裟だなあ。まあ待っててくれたまえよ、隼人くんと明るくここに帰還してみせるから!」



さらば!片手を上げたあたしを見て双子が声を合わせて【骨は拾ってやろう】哀れむようなその表情で言う。待っててと言ったにも関わらず、優は心配そうにあたしの後を追ってきた。