2人で視線を絡ませたまま何となく逸らせなくなる。あたしもその子も。ただただその間も華奢な彼の体はカタカタと音が聞こえるほど震えていて。



「だ……大丈夫?」



かけようか、かけまいか、悩んでいた声が咄嗟に口をついて出た。



見るからに大丈夫では無いだろうに、大丈夫?その言葉しか浮かばなかった自分に何となく苛立った。もっと他に良い言葉がかけられなかったのかと。



小さい子供に話しかけるみたいな言葉しか浮かばない。こんな接し方をされたら気を悪くするかもしれないのに。



でもどうしていいのか分からない。



行き場を失った手を握り合わせる。



「びっくりさせてごめん。…あたし、外に出てるから…優にお礼だけ言いたいだけだから…」


「……優ちんが……家で待ってろって言ったんだろ?じゃなきゃ優ちんが…家に女を上げるわけないーーーと思うし。」


「…でも君が」


「俺が出るからお前はここに居ていいよ。気……悪くした?」




上目使いで問いかけられドキドキする。かっわいいなーなんて不謹慎な事を思ってしまう。



「悪くしてない!大丈夫だよ」



今までにない満面の笑顔で答えられたと思う。たぶん今、鏡を見たら自分でも驚くくらいの笑顔が映ってるだろう。



「俺…女が…怖い…男なのに情けねえだろ」