恋愛白書

「やしなちゃん、そんな急いでどーしたの」


コンビニの前で神谷くんに止められる。


「ちょっと…」


あたしは丈がいないか辺りをキョロキョロする。


「…丈?」

「え?」

「俺の方が幸せにしてあげるのに」


神谷くんがあたしのことを自分に引き寄せる。


「ちょ、っと…神谷くんっ」


腕から逃れようとするが力では男の子に叶わない。


「丈に俺がもらう宣言したよ」

「え?」

「俺マジだから。考えてくれない?」


神谷くんがあたしの耳元でつぶやく。

耳にかかる、神谷くんの吐息。

なんかくすぐったい。

なんて人なんだろう。
女をとりこにしてしまうような。
そんな人。

この人なら、本当にうまくいくかも。
そう。
思ってしまう。

…でもあたしは。