「これで、いいの?」

 空き地を出てからはしばらくお互い無言だったけれど、わたしは奏多の後ろ姿に問いかけた。

 「いいんだよ。あとは陸が決めることだから」

 わたしへ振り返る。

 そう言って、清々しい瞳で夏の空を見上げた。

 「なんでこれが夏休みのやりたいことなの?」

 再び歩き出した奏多の背中に聞いた。

 「今言わないと後悔する気がしたから。付き合わせて悪かったな」

 ピタリとその場で足を止める。

 こっちへ向くかと思ったけれど奏多はわたしへ振り返ることはしなかった。

 「いつでも言えるじゃん。陸にはいつでも会えるんだし」
 
 だから急ぐ必要なんかない。

 今日じゃなくたってよかったと思う。明日でも。