「知ってるよ。ここに来る前に会ってきたから」

 凛子に。

 凛子に会いに行ったならきっと陸にも会ったのだろうと思った。

 二人に会ったその足でここに来た。

 羊ヶ丘公園でわたしと会った。そして今一緒にいる。


 「陸、試合に出てみせるって。こないだ空き地で会ったの。頑張ってたよ」

 「ああ。陸なら大丈夫だよ」

 「試合、一緒に見に行こうよ。行かなきゃきっと、陸怒るよ? 秋になったら一緒に行こうよ」

 秋にわたしがいるのかはわからない。

 それでもわたしは奏多と約束しようとした。

 約束、したかった。どうしても。
 
 「俺は、たぶん行けない。今日、陸にも謝ってきた」

 確信めいたものが過る。

 奏多の瞳には痛切な思いが秘められているようだった。


 「……ねぇ、奏多。わたしに、言いたいことがあるんじゃないの」

 出来るだけこらえようとしたけれど、自分の声の震えを抑えきれそうにない。


 「わたしに、かくしてることがあるでしょう?」

 それでも、わたしは奏多に問いかける。