『夏希は不器用だからてこずっていたけれど、洗濯物、上手に畳めましたね。これからも、父さんのシャツの洗濯、お願いしますね』
今でも母さんのように綺麗に畳めない。
わたしの後ろで見守っていた母さんを鬼ババと言ったわたし。
母さんは許してくれるだろうか。
『トキさんが見舞いに来てくれました。あなたのことを褒めていましたよ。買い物をして、夕飯の支度をして、父さんの手伝いをちゃんとしているそうですね。当たり前のことが出来る、それはとても立派です』
母さんの字が震えている。
『夏希。奏多くんと見舞いに来てくれてありがとう。でも、母さんはあなたに見舞いに来てほしくなかった。抱き締めてしまいそうだったから。抱き締めて、あなたを離したくなくなってしまう。あなたと過ごせる時間が限れている。それが悔しくて、悲しい。寂しい。とても』
喉元が焼けるように熱い。
震える指でページを捲る。



