中学生活のなかにお父さんの手伝いも家のこともスムーズに取り入れることが出来るようになった。
だけど、
『当たり前だから。それにね、今後も続けなきゃ意味がないのよ。わかってるの?』
母さんはただの一度だって褒めてくれなかった。
それは確かに当然かもしれない。
中学生なんだからそれくらい出来て当たり前だ。
でも、わたしは褒めてほしかった。
母さんに笑ってほしかった。
もっと子供だった頃のように「なっちゃん偉いね」と言ってほしかった。
ただ、それだけでよかった。
「母さんは、寂しかったんだよ。本当はずっとひとりで我慢していたからね」
膝の上で固めた拳をギュッと握る。震えていた。
ダメだ。なんの声も出てこない。
「母さんのことが嫌いかい?」
お父さんの声が悲しくて痛い。
悲しみを潜めているのだろうけどわたしにはひしひしと伝わる。
お父さんはどんな思いでその言葉を口にしたのだろう。



