【完】八月は、きみのかくしごと



 「これ入学式? ランドセルおっきくない?」

 「そうだね。重い重いって言いながら学校行ってたね」


 わたしが小学生の頃の写真だ。

 こうして改めて自分の成長を見るのはちょっと恥ずかしい。

 「あ、これ。お父さん今より痩せてるじゃん。結構イケメンだよ」

 「ははっ。母さんに胃袋を掴まれたからな」

 ポンッとお腹を叩いてみせる。

 なんだか久しぶりに笑った気がした。


 小学生の夏休みの写真を見つける。

 奏多も凛子も陸もあまり変わってないな。


 「……わたしって、母さんに似てる?」

 「ああ。目がそっくりだよ。母さんの目に似てる」

 トキさんにも言われたけどやっぱり自分じゃわからない。

 でもお父さんがそう言うのだからそうなのだろう。


 「母さんの若い頃だ。綺麗だろう?」

 今度はワンピース姿の母さんがわたしと手を繋いでいる写真。髪は背中まで長くひとつに結っていた。

 お父さんは愛しそうに写真を見つめる。

 まるで宝物を扱うように。