奏多の家に着いて呼び鈴を押す。

 呼吸を整えてドアが開くのを今か今かと待った。

 その瞬間がとても長い時間に感じる。

 誰も出てこなくてもう一番呼び鈴を鳴らした。

 玄関前にわたしはしばらく立っていたと思う。

 けれど誰も出てこなかった。奏多もおばさんもおじさんも。

 
 奏多とはいつだって会える。

 明日も明後日も当たり前に。

 変わることなんてない。

 子供の頃からずっとそうだった。そう思っていた。


 なのに、どうして一番会いたいときに会えないんだろう。


 こんなに近くにいるのに。