次の日も電話は繋がらなかった。

 お互いの家の固定電話は記録を残してくれるような高性能な電話じゃない。

 ましてや、奏多は携帯だってないのだから。

 奏多のやりたいことはまだ他にもあったはず。

 だから、待っていればそのうち電話がかかってくるかもしれないという薄い期待にすがって待っていたけど、それは見事に打ち砕かれた。

 
 タイミングが合わないだけだ。

 もしかしたら、出掛けているのかもしれない。

 いくつ理由を並べてもなにひとつわたしを納得させてくれるものはない。

 これ以上は耐えられなかった。

 わたしは家を飛び出して全力で走る。


 最初からこうすればよかっただろう。

 家だって近い。会おうと思えばいつでも会える距離。

 けど、出来なかったのは、怖いからだ。

 奏多の話を聞くことが、とても怖い。


 それでも、たまらなく奏多に会いたかった。