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 奏多の家に電話をしたのは次の日の朝だった。

 配達に行くお父さんを見送ってから真っ先に電話を手にした。

 眠れなかった。ずっと。

 奏多の話がなんなのか考えても考えても答えは出なくて、焦る気持ちは膨らんで破裂しそうだった。

 だけどその朝はいくら待っても電話は繋がらなかった。

 痛いくらいに押し当てた受話器越しに呼び出し音だけが虚しく響いていた。

 「わたしには、話すんじゃないの……」

 裏山へ行った日、奏多はそう言っていたじゃない。

 声が喉に絡む。

 凛子も陸も知っているような口調だったけれど、わたしはなにも聞いてない。

 電話台の前で膝を抱えて座り込んだ。

 奏多がくれた風鈴は窓の外から吹く強い風に揺れて千切れそうだった。


 どれくらいそうしていただろう。

 つけっぱなしにしていたテレビからお昼のニュース番組が流れた。いつもお父さんがチャンネルを合わせている地元のテレビ番組だ。

 
 通り魔という単語にまたか、とげんなりし電源を切った。