【完】ファントム・ナイト -白銀ト気高キ王-




反論する千咲に「はいはいよろしく~」と塩対応のアルくん。

雨脚が弱まっているうちにすぐに車に乗って、すこし離れたスーパーへと向かった。1フロアしかないけれど大型のスーパーということもあって、食品だけでなくコスメ用品やら生活用品やら、たくさん売ってる。



「夕飯なににするって決めてるの?」



「一応冷しゃぶしようって話してて。

味付けはたくさん用意すればバリエーションできるし、あとは野菜多めで晩ご飯はあっさりにする予定なの。デザートに千瀬がフルーツポンチつくってくれるって」



「相変わらずあいつは器用だね」



「ふふ、うん。そうね。

でも、ちあちゃんだって器用でしょう?」



ちあちゃんが不器用なところなんて、想像できない。

兄弟そろってハイスペックなんだから、びっくりする。千瀬だって素っ気ないけど、ちあちゃんのことをちゃんとお兄ちゃんとして大事にしてる。



そうじゃなきゃ。

ちあちゃんの子どもの写真を、あんな表情で見せてくれるわけがない。




「織春くんが、莉胡と付き合ってるんだっけ。

……大変でしょ。この子こんな感じだから」



「ちょっとちあちゃん、どういう意味?」



「そのまんま。

というか、あの"月のペンダント"外したの?」



マーガレットのペンダントを見て、思い出したように言うちあちゃん。

ペンダントトップが外せるようになっているから、いまは財布のファスナーに取り付けてチャームにしているんだけれど。



「千瀬がくれたんでしょ?」



ぴく、と。

わずかにわたしの肩が跳ねる。



その変化には気づかなかったようで、「まあ趣味も変わるか」とつぶやくちあちゃん。

後ろからふたり分の視線を感じるけど、ちあちゃんが一緒の今、弁解する隙間も与えてもらえない。