……ひとりじゃ食べきれないから俺と、ってことか。

由真と分ければ?と言えば、由真は抹茶がだめらしく、半分こ出来ないから俺がいいんだと。



「わがままだね」



「……なら千咲にお願いする」



「……わかったよ。

でもまだこんな時間だし食べないでしょ」



「うん、夕方に食べる。ありがと千瀬」



ふわりと潮風で、莉胡の髪がなびく。

その姿さえ莉胡の色気を煽るから、モデルだって言われたら信じる人はたくさんいそうだ。



そんなことを考えていたら見つめ過ぎたのか、莉胡が不思議そうに首をかしげた。

ううん、と首を横に振ったら、海の奥の方へと足を進める莉胡。




「急に深くなるからあんまり行っちゃだめだよ」



「うん。でももうちょっとだけ」



すたすたと足を進めて、一度空を仰ぐ莉胡。

太陽のまぶしさに目を細めて、その表情が、わずかに翳りを見せた。



「去年は十色たちと来てたのに……

今年はまさか西側のみんなと来るとは思わなかったわ」



「……そうだね」



……ああ、そういうことか。

十色さんのことを好きかどうかは別として、莉胡がそんな表情を見せるのは。莉胡自身が、東にいた仲間のことを大事にしていたからだ。



「どうして……」