「……俺を揶揄うために来たの?暇だね」



「そうなんだよねえ作業終わって暇なんだわ~」



「組み立て手伝えよ」



つーか重いから。はやく退け。

チッ、と舌打ちしたくなる気持ちをおさえてアルトを引き剥がすと、結局はちょっとだけ手伝ってくれて、組み立てを終えた。……手伝ってくれたのはほんのちょっとだけだけど。



「飲み物買ってきたよー。

あのね、莉胡ちゃんと千瀬くんの分はそういえば希望聞かなかったなって思って……どっちかは飲めるかなって炭酸とジュースにしたんだけど、だいじょうぶかな……?」



「莉胡は炭酸飲めないからジュースにしてやって。

俺はなんでもいいよ。ありがとう」



由真と織春からそれぞれ受け取ってる間。

どうやら自販機より海の家の方が近かったようで、焼きそばやらたこ焼きやらの入った袋を下げた莉胡とトモがもどってきた。




「一応焼きそばがひとり1パックな。

たこ焼きはテキトーに買ったから、まあ食いたいヤツが食えばいいんじゃねー?」



でもまだお昼まではもう少しあるし、と。

交代で海に入ろうか、という話になった。……羽泉はあんまり外にいるのが好きじゃないらしく、入らないよと涼しい顔をしてたけど。



「ねえねえ、千瀬」



つんつん、と。

シャツの裾を引かれて、莉胡を振り返る。どうしたの?と聞けば、どうやらさっきの海の家には夏の定番であるかき氷もあったようで。



「種類たくさんあったの。あとで買いに行こうね」



「……俺かき氷好きじゃないんだけど」



「もちろん知ってるわよ。

でも抹茶白玉のかき氷と冷凍されたフルーツが入ってるかき氷のどっちも食べたいから、半分こしてほしいの」