「は?
お前このあいだ俺に向かって無理やり彼女の写真見せつけてきたの忘れたわけ?」
「ミヤケお前、このあいだ俺が取っといたプリン勝手に食べたよね」
「十色さんも千瀬もモテるくせして器ちっさいな……!」
いまだにしゃがみこんで悲痛に叫ぶミヤケ。
うるさいからもう一回蹴ろうとしたら避けられた。動けんじゃねーか。
「……っていうのは嘘でさ。
西のトップと莉胡が付き合ったって話を聞いて、それっぽいこと聞けるかなって伺いに来たんだけど。まあ、敵情視察?」
そしたら、全員そろってくれちゃってるし、と。
楽しげな十色さん。それに眉間を寄せた春は莉胡の腕をそっと引いて、自分の方へと引き寄せた。
莉胡は莉胡で自分に非があることはわかっているのか、だまりこくったままだし。
微妙に空気悪いな、と思っていれば、不意に莉胡が春を見上げて「ごめんなさい」と謝った。
「迷惑かけて……ごめんね」
甘えたその仕草に春は小さく息をつく。
十色さんとおそろいの黒髪を撫でて、彼に見せつけるように髪へとくちびるを落とす春。──ふ、と十色さんはやけに落ち着き払って笑ってみせた。
「髪へのキスは、思慕、か」
「東から闇討ちを仕掛けてきた理由はなんだ。
……くだらない理由で傘下を巻き込むつもりはねえ」
「ふ。そんなの、楽しいからに決まってるでしょ?
昔からの東西の関係は、触れず離れずでイライラしてたし。莉胡がそっちの人間になったなら、取り返してついでに引っ掻き回そうと思っただけ」
……ほら。
やっぱりロクな理由じゃなかった。
「それは、私情と捉えて構わないんだな?」



