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それから。

あの変なヤツが神社にでてきてから三日たった。

それでもヤツはまだお賽銭箱の所にずっといる。

掃除とお賽銭回収するときに追い出してやる!

だって、変なヤツにいすわられていたら、たまったものじゃない!

ヤツの前に仁王立ち。

「あの、ちょっといいですか?」

自分に話しかけてるとは思ってないのだろう。

そのまま無視された。

「あの、ちょっといいですか?」

キョロキョロしてる。

他の人に話しかけていると思っているのだろう。

「あなたですけど。」

「…………えっ、俺?」

「あんたしかいないだろ。」

「えっ、俺のこと見えるの?」

「だから話しかけてるんじゃないの!」

「そーかそーか俺のことが見えるの
かー!で、ご用件は?」

こっちは真面目に行ってるのにえらくマイペース……。

よし、言ってやる!

「ずっとうちの神社にいすわられても困るんですけど!ということで、出ていっていただけませんか?」

「えー、そんなつれないこというなよ~!それに、うちのって言うけど、ここの神社の巫女さんは嬢ちゃんじゃないだろ、嘘は泥棒の始まりだぞぉ~!」

ケラケラ笑ってまるで相手にもされない。

「一応私、五日くらい前にここの巫女になったんですけど。」

「だから、嘘は泥棒の始まりって…………えっ、ほんとに?」

「本当に。」

「え、じゃ前の巫女さんは?」

「は?」

あ~……。お母さんのことか。

「母のことですか?」

「アイツお前の母ちゃんなのか?」

「ええ、まあ。」

「じゃあ、アイツもうここ来ないの?」

「そうですね、海外行っちゃいましたし?」

「ふーん、嬢ちゃんが新しい巫女さんってことかぁ……。ふーん、そっかそっかぁ~。巫女、巫女ねぇ~……。」

ずっとそっかそっか、そうなのか、うんうんとか一人言を呟いている。

とにかく!

「出ていってください!」

出てくよ~、と渋々ながらもわかってくれたみたい。

「じゃあな!嬢ちゃん!」

ウインクをしてヤツは去っていった。

……あのウインクどこかで見たことあるような……?

でもやっと帰ってくれたよ。もう来ないことを願おう……。

少しため息をつく。

しかし……。

このときから、私の運命は既に動き始めていた……。