* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
わしがまだ雀宮山の主をしていた頃のこと。
「む、山がざわめいとるのぉ。」
俺は山や木々の気持ちや、風の声が手に取るように分かる。
今日はいつもより山が騒がしかった。
何事かと思って木々達が導くままに行ってみれば、一人のまだ五歳くらいの少女が桜の木の下で泣いていた。
その子供のそばに桜が困り果ててうろうろしている様子。
「む、子供か。どうした?」
「この娘が、山に迷い混んでしまったようなのだ。それで、桜の木の下で泣いている様なのだが私はどうすることもできず……という訳なのだ。」
「へぇ……、まぁ、わしにはどうすることもできんのぉ。なんせ人間にはわしらは見えんから。」
うーん、どうするものか……。
すると少女はピタッと泣き止み、こちらの方をじっと見つめ、
「見えるよ。」
と言った。
桜と顔を見合わせる。
お互いキョトンとした。
「おじさんのことも女の子も見えるよ。」
おじさん……。
二十歳くらいの若い男の姿をしているのだが……。
この少女からすればわしはおじさんなのか……。
おじさん、ちょっとショック。
それにしてもこの少女、わしらが見えるということは霊感があるのだろうか?
まぁ、そうとなれば話は早い。
「お嬢ちゃん、わしが山の麓まで送っていこう。」
「うん。」
少女の手をひいて送っていく。
別れ際に。
「お嬢ちゃん、もう一人で山に来ちゃいかんよ?」
そういいつつ少女を見送った次の日の昼頃。
わしがまだ雀宮山の主をしていた頃のこと。
「む、山がざわめいとるのぉ。」
俺は山や木々の気持ちや、風の声が手に取るように分かる。
今日はいつもより山が騒がしかった。
何事かと思って木々達が導くままに行ってみれば、一人のまだ五歳くらいの少女が桜の木の下で泣いていた。
その子供のそばに桜が困り果ててうろうろしている様子。
「む、子供か。どうした?」
「この娘が、山に迷い混んでしまったようなのだ。それで、桜の木の下で泣いている様なのだが私はどうすることもできず……という訳なのだ。」
「へぇ……、まぁ、わしにはどうすることもできんのぉ。なんせ人間にはわしらは見えんから。」
うーん、どうするものか……。
すると少女はピタッと泣き止み、こちらの方をじっと見つめ、
「見えるよ。」
と言った。
桜と顔を見合わせる。
お互いキョトンとした。
「おじさんのことも女の子も見えるよ。」
おじさん……。
二十歳くらいの若い男の姿をしているのだが……。
この少女からすればわしはおじさんなのか……。
おじさん、ちょっとショック。
それにしてもこの少女、わしらが見えるということは霊感があるのだろうか?
まぁ、そうとなれば話は早い。
「お嬢ちゃん、わしが山の麓まで送っていこう。」
「うん。」
少女の手をひいて送っていく。
別れ際に。
「お嬢ちゃん、もう一人で山に来ちゃいかんよ?」
そういいつつ少女を見送った次の日の昼頃。