それは太古の昔。

まだ妖魔界と人間界がまだ一つの世界となって
妖怪と人間が共生していた頃のこと。

麒麟、応竜、鳳凰、霊亀という妖怪がいた。

彼らはとある国を守る四つのかなめ、四天王として、その国王に仕えていた。

国王はとても気がよく、おおらかであったため沢山の民から慕われていた。

しかしそんなある日のこと。

国王が暗殺された。

その国王を暗殺したのは国王の血の繋がっている弟であった。

彼は国王という地位を狙っており、そのため血の繋がる兄弟を殺したのだ。

それを知って、四天王達はとても悲しんだ。

そして、国王の弟が国王に即位し新たな国王となった。

その国王は四天王に、

「これからは新たな国王である私に永遠の忠誠を誓いなさい。」

そう命じた。しかし、四天王はこれをかたくなに断った。

この国王は前の国王とは違い、強欲で、短気で、全てを己の思い通りに使用とする自己中心的な人物であった。

国王に従おうとしなかった四天王に、国王はみせしめとして一日に十人ずつ民を殺していくと宣言したのだ。

当然、四天王は国王に従わなければならない選択を迫られた。

しかし、この国王に従えば必ずこの国は滅びる、と彼らは理解していた。

そうして、このように小さな争いが次第に大きくなっていき、とうとう妖怪と人間の戦争が始まってしまった。

もちろん、人間も妖怪もこんなことを望んではいなかった。

ただし、国王以外は。

もはやこのときの彼はただ国の一番上に君臨しているという優越感にひたり、己の自己満足のために沢山の悲しみと死者を生み出す独裁者に過ぎなかった。

四天王達はこのとき、人間と妖怪は共に生きていくのは無理なのではないかと悟った。

彼らは、人間と離れて暮らすため妖怪のための新たな世界、妖魔界を造り出そうとした。

妖怪、という彼らの大きな力は世界という大きな存在を造ることさえも可能だったのだ。

だが、麒麟はそれを断固として反対した。

彼は虫を殺すのも、花を踏むのも嫌がるほどの殺生を嫌う平和主義者であったため、人間と妖怪は本当に共生はできないのか、共に支え合うことができないのか、とずっと反対していた。

しかし、このままではさらに沢山の死者と悲しみを生み出すだけだった。

それに耐えかねた四天王はとうとう妖魔界を造り、そこに住むようになった。

そして、彼らはなおも続く国王の独裁的な政治に平和がもたらされるように、平和を願う心の象徴として己の魂を削り形にしたもの、四魂の玉を生み出した。