夏休みもそろそろ終わり頃。

六人でちゃぶ台をかこんで渚の作ったご飯を食べている。

そんな昼下がり。

キュ、キュッキューッ

すぐ側でそんな鳴き声がする。

なんだろう、と思って見てみればそれはモゾモゾと動く謎の赤い肉塊。

「なにこれ!?」

思わず驚く。

「「「「「ん?」」」」」

皆がいっせいに私を見る。

「あのさ……これ、何……?」

私はそう言ってソレを指差した。

ソレを見た焔が、

「あ~、ソイツはアレだな。人間界でいう妖魔界の伝書鳩……みたいな?」

「ふ~ん……。」

よく見るとその肉塊は、野球ボールくらいの体に大きな黒の一つ目玉に、羽根がついている。

伝書鳩みたいな……ってことは、

「何かの手紙を届けに来たってこと?」

「まあ、そうなるな。」

そういって焔は肉塊から受け取った手紙を読み始めた。

「なになに……。
『玉巫女殿を妖魔界に連れてきなさい。
ぬらりひょん』
だって。」

「相変わらずぬらりひょん様は説明力が無さすぎるな。」

真顔で言う雪。

ぬらりひょん……?

「ぬらりひょん様って誰……?」

渚に聞いてみる。

「ぬらりひょん様はね、妖魔界の全ての妖怪達をまとめる、いわゆる総領みたいな、偉い御方だよ。」

ぬらりひょん様ってそんなに偉い妖怪なんだ……。

「でもそんなに偉い妖怪が私になんの用があるの?」

うーん、と頭をひねる焔。

「多分、玉巫女ってこれには書いてあるから、玉の話とかじゃねーのか?」

ふーん……。

「それじゃ、早速行こう。」

「え?どこに?」

「妖魔界に!」

いきなり妖魔界に行くと言い出す焔。

「はぁ~!?今から行くの!?」

思わず大声で叫んでしまった。

「まぁな、ぬらりひょん様って結構忙しかったりするからさ、今のうちに行っとかないと会えなかったりするからな。」

えぇぇぇ~……。