「お父さんとお母さんは、明日から海外へ行ってきます!」

二人揃ってニコニコしながら腕を組んでアホなことを言い出す目の前の両親。

「……は?」

「お父さんがね~海外転勤になっちゃってスペインに行くことになったのよ~!」

キャピキャピしながら言うお母さん。

「うん、それでどうしてお母さんもスペインに行くの?」

少々嫌な予感がしながらも聞いてみる。

「お母さんはね、一生この人に、お父さんについていくって決めてるからよ!だから一緒にスペインに行くって決めたの!」

どこから拾ってきたんだ!そんな決まり文句みたいなセリフ!
「お母さん…!お父さんもだよ~!」

お父さんもそう言ってお母さんに抱きつく。

私の前で無駄にイチャイチャするんじゃない!というかこの二人、30代半ばもいいところなのに、若者に負けないくらいリア充だよ!!

「それでね、お父さんと、この家はもう売り払っちゃって、麗華は転校と引っ越しするってことになっちゃうけど、隣の街にある、うちの神社の隣の空き家に一人暮らしになっちゃうけど住んでもらって、ついでに…早いけど巫女になって神社を継いでもらおうって決めたの!」

ん?ん?ん!?

すでに決定済み!?

「一人暮らしはまだ百歩譲っていいとして、いきなり神社継いでください。はい、そーですか。って納得できるわけないでしょ!」 

私がそういうとお母さんは両手を合わせて、

「お願い!麗華しかいないの!このとおり!それに…言いそびれたけど明日引っ越しセンターの人も来ちゃうのよ~。だからお願い!」

は?い?この親は何を言っているのやら。

「え、明日来るの?」

「うん。」

「明日?」

「うん。だから、ね?

荷造りもお願い!」

「…………はい。」

ということで強制的に引越しという形で終了。つまりは、明日から一人暮らしです……。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *