さくら、さくら


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【飛鳥side】

「まさかとは思うが、夜、こんな人混みの中、嬢ちゃんをさらうのは絶好の機会と考えた妖怪の仕業……ってか?」

「……俺がいく。」

気がつけばそんなことを口走って、人混みの中を走っていた。

ふと、足を止める。

………といっても。

「人間の姿じゃ、少々おっくうか……。」

人気のない所へ行き、人間の姿から天狗の姿に変化する。

こっちの姿の方が夜目もきくし、第一に飛んで空から麗華を探すことができる。

バサッ

……空からいくら探しても麗華がいない。

「人混みの中にはいない……?」

だとしたら……どこか人の目のつかない所……?

「いた……!……ん?」

そこにいたのは麗華だけではなかった。

「あれは……!」

それは、大きな巨大蜘蛛だった………。