さくら、さくら


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「私、麗ちゃんに電話してみるね!」

碧が麗華に電話をかけている間に焔達は話をしていた。

「嬢ちゃんがはぐれちまったけどどうすんだよ?俺達五人で探すか?焔。」

「そうしたいんだが……。そうすれば、東さんがひとりになってしまう。」

「あんな大きな人混みの中を僕らは歩いてきたんだ、麗華ちゃんがはぐれてしまうのも無理はないと思うけど……。」

なにか嫌な予感がする。

五人はそう思った。

そこで鬼羅が口を開く。

「まさかとは思うが、夜、こんな人混みの中、嬢ちゃんをさらうのは絶好の機会と考えた妖怪の仕業……ってか?」

「……俺がいく。」

ダッ

「え?……っておい、飛鳥!?」

走って人混みの中に消えていく飛鳥。

それを追いかけようとする鬼羅。

「待って。」

それをひきとめる渚。

「心配することはないよ、鬼羅。きっと飛鳥なりの考えがあるんだよ。それに………彼ならきっと大丈夫。」

最後はまるで独り言のように呟いた。

「アイツなら……か?」