最近、何かがおかしい。

霊や妖怪なんて、今まで普通に見えてきたけど無視していた。

それなのに最近、いろんな妖怪や霊が私のあとをつけてくるような、様子を伺っているような、そんな妖怪達をちらほら見る。

特に害は無いんだけど……。

そんなある日。

「よお、嬢ちゃん。」

またアイツが神社にやって来たのだ。

しかも似たような変なやつがあと四人増えてる!

一人は、長い銀髪に獣耳、赤い瞳に着物と羽織を着ている。

一人は、青い瞳に、クリーム色っぽい長い髪を簪でまとめ、昔話の天女みたいな服を着ている。

一人は、獣耳に、無造作に伸ばした茶髪を後ろにくくりあげ、どこかの民族衣装みたいな服を着ている。

一人は、赤く長いはなの面に高下駄をはいて、錫杖を持ち、背から黒く大きい羽根がはえている。

よくこんなのばっかりそろえたもんだよ……。

でも、見るからに皆、妖怪とかの類なんだろう。

姿が人間とはかけ離れている所がいくつかある。

そこで、私が物申す!

「神社に来られたら困るって何回言えば分かるんですか!?しかも、また変なヤツが増えてるし!」

ほんとになんなんだ!もう会わなくてすむと思っていたのに!

「今日は大事な話があるんだ。」

今日はえらく真面目な様子。

「嬢ちゃん、最近いろんなやつに目つけられてるだろ?」

目つけられてるって……ちらほら見る妖怪達の事?

「一応、そいつらに関係する事なんだが……。」

……まぁ、そういうことなら聞かないこともない

「まず、嬢ちゃんは、一霊四魂って知ってるか?」

なんだ、それ。

「聞いたこと無い。」

初めて耳にする。

「一霊四魂ってのは、
荒魂、和魂、奇魂、幸魂。
これらがそろって一霊となり、肉体に宿ったのが心であるといわれ、荒魂は勇を、和魂は親、奇魂は智、幸魂は愛を司り、これが正しく働いた一霊は、直霊といい、人心は正しく保たれる。
逆に、悪いことをすれば、四魂の働きは悪くなり、一霊は曲霊となり、人は道を誤る。
つまり魂はその四魂によって良くも悪くもなる、ってのが一霊四魂だ。
それは、俺達妖怪にも共通することでもある。
そして、その四魂が実体化したものが存在している。
それは、荒の玉、和の玉、奇の玉、幸の玉、と四つの玉になってわかれている。
それらは四魂の玉といい、大きな力、つまりエネルギーを発しているんだが、それは一部の悪い妖怪だったり、善悪にの良し悪しがわからない知能の低い妖怪達がその玉を狙ってるのさ。
まぁ、ここまでは分かるか?」

うーん……よく分からないけど……。

四魂の玉っていう四つの玉が悪い妖怪に狙われてる……ってことだよね?

「四魂の玉は、俺達妖怪や霊みたいな人ならざる者達が住む、妖魔界に三つだけ、あるんだ。あともう一つは…………。」

もう一つは……?

「嬢ちゃん達人間が住む、人間界にある。そして、その玉は玉巫女といって、ある人間に守られている。それは誰だと思う?」

そんなこと分からない。

だってこんな話聞いたの初めてだし。

「玉を守ってる玉巫女っていうのはな……嬢ちゃんなんだよ。」

しばらくの沈黙。

「まさかぁ~!私玉なんて持ってないし、第一に見たことないのに。」

ヘラヘラしながら否定をする。

「ああ。今は、な。」

「……?」

「玉巫女ってのは、嬢ちゃんの家系の巫女さんに300年に一度誕生する、と言われているんだ。
それがちょうど嬢ちゃんだったんだよ。
玉は……玉巫女が真に目覚めるとき出てくる、と言われている。
だから、嬢ちゃんが玉を持っていても、持っていなくてもその玉欲しさに妖怪達が嬢ちゃんを狙ってるってわけだ。」

なにそれ。

どこのファンタジーの設定ですか?

私の頭にハテナマークしか浮き上がらない。

「嬢ちゃん……あんたが玉巫女である以上、命が狙われている、と言ってもおかしくないんだよ。」