「ほら、小春、早く食べちゃいなさい」

お母さんが焼きあがった目玉焼きを運んできてくれたので、私は慌ててパンを口にする。


「はい、サラも召し上がれ」


サラの大好物の、ミルクに浸して柔らかくなったパン。

それが美味しそうに盛り付けされた小さなお皿が、サラの前にも差し出された。


サラはご機嫌斜めを引きずっているらしく、ぷいっと顔を背けるけれど、チラチラとミルクパンの方を気にしている。



これも毎朝の事。


いつもと変わらないその様子がおかしくて、私はまた「ふふっ」と心の中で笑った。