大学の敷地内を駆け抜けて、2号館前にたどり着いた。
午後の授業まであと少し、時間がある。

ぼんやりと外階段を上っていると
「リオ!」と呼ぶ声がした。
まさか、と思って振り向くと、蒼井先輩が追いかけてきていた。

人間の本能って、怖い。
とっさに私は走りだしていた。

しかし、肝心な時に私のどんくささは
途方もない威力を発揮する。

階段を駆け上がると同時に、思い切り転倒。
なんとか顔は守ったけど、バックの中身はぶちまけちゃうし、転んだ時の音は建物に反響して、世界中の人に聞こえてしまいそうなほどに大きな音を立てた。