知っている顔だった。
だってそれは、同じクラスの男子だったから。でもあまり接点は無くて、話すのもこれが何度目かってぐらいだった。
彼は、クラスでも無口な人。友達と話しているのを何度か聞いた事があるが、返事は『ああ』とか『うん』とか、相槌を打つだけ。
それにしても、こんなに薄暗い中でもよく分かるほど、随分と綺麗な顔立ちだった。少し切れ長の目に、触らなくても分かる程のつるんとした肌。かっこいい、というより、綺麗だという言葉の方が合ってる。
こんなにじっと顔を見た事は無かったから、正直ちょっと驚いた。
呼び止められた理由も分からず、そんな事を考えていると、彼は私の目の前にスッと右手を差し出した。
「これ、探してたんだろ?」
開いた手には、私の自転車の鍵。
「あ!」
「さっき後ろ歩いてたら、落ちてたから」
少し疑問には思っていた。
彼が何の為に私に話しかけてきたんだろうって。でもその心も、手渡された鍵で簡単に溶けてしまった。
「あ、ありがとう! 探してたの!」
だってそれは、同じクラスの男子だったから。でもあまり接点は無くて、話すのもこれが何度目かってぐらいだった。
彼は、クラスでも無口な人。友達と話しているのを何度か聞いた事があるが、返事は『ああ』とか『うん』とか、相槌を打つだけ。
それにしても、こんなに薄暗い中でもよく分かるほど、随分と綺麗な顔立ちだった。少し切れ長の目に、触らなくても分かる程のつるんとした肌。かっこいい、というより、綺麗だという言葉の方が合ってる。
こんなにじっと顔を見た事は無かったから、正直ちょっと驚いた。
呼び止められた理由も分からず、そんな事を考えていると、彼は私の目の前にスッと右手を差し出した。
「これ、探してたんだろ?」
開いた手には、私の自転車の鍵。
「あ!」
「さっき後ろ歩いてたら、落ちてたから」
少し疑問には思っていた。
彼が何の為に私に話しかけてきたんだろうって。でもその心も、手渡された鍵で簡単に溶けてしまった。
「あ、ありがとう! 探してたの!」