────────── ─────…… 「…ねぇ」 5分ほど本を読んだ時。 突然、頭の上から透る声が降ってきて、私はゆっくり顔を上げる。 「隣座っていい?」 そこには、同じクラスの桜庭くんが首を傾げながら立っていた。 桜庭くんは男女問わず人気の男子。 今まで一度も話したことがないし、どうして人気者の彼が私に話しかけているのだろうという疑問は少しあったが、正直それよりも、早く本を読むのを再開したかったので、私は「どうぞ」と返事をした。