【side 紫月】 キーンコーンカーンコーン──── そう、HR終了のチャイムが鳴った時。 私の至福の時間は始まる。 カチャッ 私は、かけてる黒縁メガネの鼻当てを軽く押して直すと、机に置いたスクールバッグを肩にかけて教室を出る。 学校は好きじゃない。 だけど、学校の図書室は大好きだ。 あそこで本を開けば、大好きな本の世界へとビュンと飛んでいけるから。 私は今日も、背中まで伸びた長い黒髪を少しだけなびかせて、図書室へと向かった。