赤に染まる指先

今度はちゃんと、きれいに乾くのを待つ。


爪が乾くまでは本当に暇だ。


スマホは触れないし何か適当に時間を潰すこともできないから。


ぼうっと何も考えずにいると規則正しい時計の音が聞こえてくる。


思考は、あの日からずっと止まりそうな速度で動いてる。


ゆっくり、ゆっくり、動いてる。


まるで電池が切れそうな時計のように。


だけど私は時計とは違う。


時計が時間を刻むという存在意義を持つように、私は何も存在意義なんてないのだから。


なんのために今息をしてるの。


なんて、ぼんやり思う。


だけどすぐに考えは放置する。


だってもう、考えたところで面倒だ。


きっと、なんてことないちっぽけでどうだっていい理由だろうから、そんなの気づく必要なんてない。


気づいたところで何も変わらないんだから、労力の無駄。


そうやって割り切って、切り捨てて。


また意味もなく息を吸う。