赤に染まる指先

やがて分厚くなった赤は、表面だけ乾いていた。

赤に触るとぐちゃりとつぶれるように醜い歪な形をした。

乾いた表面のしたから出てきたドロッとした赤が指先を赤に染める。

まるで指先から血が流れたみたいに見えた。


何やってんだろ。


虚無感に襲われる。


馬鹿みたいって思って時計を見れば午前2時。


そういえば、眠いかも。


喉奥からやってきそうな欠伸の存在を確認して、やっとそう思う。



はあ、と溜め息を吐き出して除光液で赤を拭いとる。


ガサガサの爪。


濃い肌の色。


赤を塗った爪の方がやっぱり好きだと思いながら、私は色を塗り直した。