赤に染まる指先

「心配してやってんだけど」


吉田は大概お節介だ。

それに、心配?この私に?


「別に、吉田に心配してもらう必要ないから」


友だちならともかく、吉田に心配してもらう筋合いはない。

それに心配なんてしなくていい。

無駄だ、そんなもの。

私にはもったいない。


「あんた、ほんと可愛げがないな」


吉田は溜息を吐いた。


「吉田はお節介だよ」


私も溜息を吐いた。

すると吉田は「お節介でもしたくなるよ」と言った。


「あんた、見てられないから」


私は何も言えなくなった。


「あいつと別れてからのあんた、本当に人形みたい。本当に死にそう」


吉田は淡々と述べる。

その言い方にも腹が立った。


「別に、あんたに関係ないでしょ」


分かってることを言うな、と言いたい。

人形みたいだってことも、このままじゃ本当に死ぬことも、分かってる。


分かってるからこそ、あんたに何も言われたくない。


言われたくないのに。