走って寝室から出る私に、零さんも数秒後に寝室から出る。
昨日の風邪は一体なんだったのか...ってぐらいに
元気に走り回る私を見て零さんが笑っていたことなんか知らない。
「それじゃあ零さん!行ってきますね」
「あぁ、悪いな送ってやれなくて」
「全然大丈夫ですよ!
それよりお仕事頑張ってくださいね」
「んっ。
あっ、おい朝日」
「はい?」
玄関で座りながら靴を履いていた時だった
呼ばれて後ろを振り向くと
ちゅっ、とリップ音。
「忘れもん」
「〜〜〜!!」
「言葉になってねーぞ」
もう!これだから零さんは嫌になってくる!
朝から色々と刺激的な彼に見送られながら
赤い顔を手で隠して元気よく玄関を出た。
自分以外の誰かを大事に出来るって
とても素晴らしい事だって。
その相手が零さんでよかったなーと
キスされた唇に指先が少し触れ、今日も1日頑張ろうと思えた。