「俺が勝手に楽しみにしてただけだから。だから、美羽を迎えに来たんだ」
「あっ……その、ありがとうございます……」
うわぁ……楽しみにしてただなんて……。
恥ずかしい、心臓が鼓動を打ちすぎて壊れそう。
「それじゃあ、女の子達に見つからないようにそっと出ようか」
そう言って、優しく掬うように手を取られる。
手、繋いじゃってる……。
あ、棗くんの手、大きくてゴツゴツしてるんだなぁ……。
私のとは違う感触に、やっぱり心臓が騒いだ。
「よし、こっちだ」
「は、はい!」
楽しそうに私の手を引く棗くんに連れられて、なんとか誰にも見つかることなく、学校を出ることが出来た。
「じゃあ、駅前のショッピングモールに行こうか」
「あ、あの……」
行き先を決めて歩き出す棗くんに、私はおずおずと尋ねる。
この繋いだままの手が、恥ずかしかったからだ。


