「大丈夫じゃない!美羽、馬鹿か!?」

「うっ……え??」


あまりの剣幕に、今度は私が固まる。

ええっ、なんで真琴ちゃん怒ってるのっ。

しかも、馬鹿って言われた……。

しょんぼりしていると、真琴ちゃんが盛大なため息をつく。


「普通、得体の知れない男の家に止まらないだろ!」

「いや、得体は知れてるんじゃ……」


うちの学校の先輩だし、それに棗くんはいい人だ。

朝、同じベッドで寝てたのはびっくりしたけど、本当にそれだけで、何より優しい。


「あのなぁ、美羽は警戒心が無さすぎだ。泊まるところが無いなら、うちに来たらいいのに……」


「ご、ごめん!でも……棗く、先輩はいい人だよ。本当に良くしてくれるし、私も恩返ししたいんだ」


心も体もボロボロだった私に、手を差し伸べてくれた人。

そんな棗くんに、心救われたから……。