「ふっ……本当に、可愛いな、美羽は」

「……えっ!?」


アルマゲドンでも落とされたかのような破壊力。

その一言に、私は倒れそうになった。


「か、かわっ……」

「可愛いだろ、こんなことされたら……」


聞きなれない男っぽい言葉。

いつもの柔らかい口調とは違って、さっきから心臓がうるさかった。

照れくさそうに頭を掻く棗くんから視線をそらせない。


「ありがとう、嬉しすぎてどうにかなりそうだよ」


そう言って、棗くんは私の手からお弁当を受け取った。


もしかして、棗くんは天然タラシなのでは……?

これ以上棗くんを見つめるのは心臓に悪い。


「そ、それは良かったです……えと、それではまた!!」


校門が見えたところで、私は全力で棗くんから逃げる。


「え、美羽!?放課後の待ち合わせのこと忘れないでね!!」


棗くんが何かを叫んでいたけれど、それを立ち止まって聞く余裕はなくて、私は逃げる様に教室へと向かった。