「でも、美羽に迷惑はかけたくないから、俺は途中で裏門から侵入することにするよ」
「え!それなら私が!」
「コラコラ、美羽にそんな面倒なことさせたくないんだ。いいから、俺の言う通りにしなさい」
そう言って、私の頭を撫でる棗くん。
もう……私、棗くんのペースに流されすぎだ。
だって、こうして頭を撫でられると、素直に頷いてしまうから。
「あの、それなら……これを」
そう言って、私はスクールバッグを漁る。
そこからお弁当箱を取り出して、棗くんに差し出した。
「えっと……これは?」
「お、お弁当です。簡単なサンドイッチなんですけど、もし良かったら……」
朝ごはんのついでに、一緒に作っておいたんだよね。
でも、突然迷惑かな……。
不安になりながら棗くんを見つめると、棗くんは驚いたように私を見つめて、すぐに微笑んだ。


